異種間通信

SF

 皆様は、アメリカのロズウェル事件をご存知でしょうか?
 1947年ニューメキシコ州ロズウェル近郊に1隻のU.F.O.が墜落、乗員と思しき宇宙人の遺体と共に米軍が確保。遺体解剖時の写真がリークされた事件。

異種間通信

 本書は、その数十年後の近未来を描いた、ファーストコンタクト物のスペース・オペラです。
ロズウェル後、NASAの火星探査計画で打ち上げられたマリナーは小惑星帯近傍にある巨大宇宙船を探知します。NASAはロズウェルに墜落したU.F.O.の母船と断定しますが、その発見を秘匿しています。

 ところが、最近になって小惑星がその宇宙船への衝突軌道に有ることがわかり、有人の調査チームを派遣することになります。異星人とのファーストコンタクトのリーダに選ばれたのが、本書の主人公、ジェーン・ホロウェイ博士。言語学者である彼女は、アマゾン奥地での生死をさまよう調査旅行からチームを生還させた実績があり、それがNASAの選定理由となります。

 最初は気乗りしない彼女でしたが、訓練をこなす内に気になる存在となった、エンジニアのアラン・ベルゲン博士を含む数名のメンバーと共に調査に乗り出すことになります。

 物語は、調査チームを乗せたカプセルが一年以上を掛け目標の宇宙船に到着する所から始まります。宇宙船に動きは見られなかったものの、ドッキングポートに明かりがついたり調査に入った先では重力や酸素が供給されたりと、明らかに、来訪者を認識している様子ですが乗員は誰も見つかりません。ところが、彼女がドアに描かれた図形文字を解読している際、突然イメージの奔流に襲われ気を失ってしまいます(異種間通信の始まり)。生き残った乗員がいるのか?はたまた、船の管理AI?が目覚めたのか?彼女とチームの生死を賭けた調査行が始まります。

 なぜ乗員が誰もいないのか、何の目的で地球へ来たのか。調査チームは無事生還出来るのか?深まる謎は、ジェーン・ホロウェイの視点から次々解明されていきます。

 電子書籍で出版され、ベストセラーになったそうですが、使い古された感のあるファーストコンタクトテーマを新たな切り口で語り、読ませる所など納得です。この手の話は、ともすれば、ハードSFへ転んでもおかしくは無いのですが、主人公の女性らしい視点や情景描写で踏みとどまっています。

 そして最後には驚きの展開(一応、決着はつくのですが、ここで終わるの?って感じ)が待っています。秋の夜長に如何でしょうか?


著者:ジェニファー・フェナー・ウェルズ、出版社:早川書房、シリーズ名:-

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Posted by null-a