星間帝国の皇女-ラストエンペロー-

SF

 遙かなる未来、人類はワームホールネットワークとでも呼ぶべき『フロー』を発見し、銀河系へ進出、フローで繋がれた各世界が相互依存する広大な帝国(インターディペンデンシー)を築き上げた。

 銀河帝国皇帝は、フローの結節点(ハブ)をいち早く独占しインターディペンデンシーの祖となったハウス(公家)・ウーから世襲により代々受け継がれています。

星間帝国の皇女

 物語は、現皇帝アタヴィオ六世(バトリン・ウー)が死去するところから始まります。次期皇帝は、期せずして、継承権2位であったカーデニア・ウー皇女が即位することとなります。彼女は皇帝になる事など望んでいませんでしたが、しかたなくグレイランド2世として即位します。
 そして、先代皇帝の記憶AIから帝国崩壊に至る驚愕の事実を聞かされます。数百年安定していたフローが消失し始めていると言うのです。フローが消失してしまえば、各世界は孤立してしまいます。ほとんどの世界が惑星を持たない宇宙空間上に発展し、物流などで相互依存している世界のため、孤立は滅亡と同異義語になります。

 ここから星間帝国の最後の皇帝となることを決意したカーデニアの孤軍奮戦が始まります。良くしたもので(?)各ハウスやギルドの思惑や陰謀、今回は詳しくは描かれてはいませんでしたが、教会の暗躍?なども始まり、否応なくカーデニア新米皇帝は巻き込まれて行くことになります。

 本書の原題は『THE COLLAPSING EMPIRE』(崩壊する帝国)なので、今後もカーデニア視点だけから語られる事は無いとは思いますが、続きが楽しみなシリーズです。

 作者はデューンに殊の外思い入れが有るようで、デューンの世界観と対比しながらや、アシモフの『ファウンデーション』3部作(ここではあえて3部作と言います)を念頭において読むとより面白いと思います。

 本書は3部作(今の所)の第1部となますが、話はやっと始まったばかりです。500ページ近い本書ですが、『ここまで読ませて、これで終わりかい!』といったガッカリ感がなく、妙な充足感が得られるのは、訳者あとがきに有るように作者のリーダビリティの高さやテーマの多彩さ、絶妙なユーモア感覚のなせる技ではないでしょうか。
 私は作者の作品は『レッドスーツ』しか読んだ事は無かったのですが、人気の『老人と宇宙(そら)』も読んで見たくなりました。


著者:ジョン・スコルジー、出版社:早川書房、シリーズ名:インターデペンデンシー

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Posted by null-a